アスマと紅と俺の三人で、翌日の三班合同訓練用の演習場のチェックをすることになった。
今回は夜間の動き方の連携についてを学んで欲しいので、この下見も遅い時間に行っている。
「自然とシカマルが中心になるでしょうね」
紅の言葉に俺もアスマも頷いた。何度も合同訓練を重ねるうちに、部下達も自然と彼の指示に従うようになっている。
下忍九人に対し上忍二人で対応するのだが、最近は手ごたえが出てきた。
個人プレイではなくチームプレイだと彼らが理解してきた証拠である。
「この地形だとナルトが多重影分身を変化させてそこら中に隠れるだろうな。アイツのチャクラ量は並大抵のものじゃねぇから」
「そうだね。暗くても紅のところの三人はそんなもの一切通じないから俺達が隠れてもすーぐ見つかっちゃうだろうし」
他班のメンバーを褒めながらも、本心は自分の子達が一番だとどいつも思ってるはずだ。俺もそう。
でも皆が優秀なのは当然だと思う。だってイルカ先生が愛情注いでまっすぐ育てた子供達なのだから。
「イルカも大したヤツだな、こんな癖のある奴らを全員引き受けてたんだぜ」
「そうね、私だったら途中で音をあげるわ。任務の方が数倍マシ」
「ごもっとも」
そんなことを話しながら引き続き演習場を回っていると、つい先日吸チャクラ魚が生息していた池に辿りついた。
火影様は暗部が全て駆除したと話していたが、念のため三人で気配を探ってみる。
吸チャクラ魚は栄養分がチャクラなので、常に微量のチャクラを持っており発見が容易いのだ。
しかしこの作業はひどく単調なので、つい無駄話が増える。
「しっかし二人とも今日はもう少し浮ついてるかと思ったけどそうでもないね」
二人の顔にハテナが浮かんだ。あれ?
「え、ついに熊が紅にプロポーズしたんじゃないの?」
今度は同時に噴出す。息ピッタリだ。
「な、何言い出すのよ!」
そう言いつつも紅の頬は赤くまんざらでもなさそうだ。
だがアスマの顔色がいまいちすぐれない。おまけに視線で話をやめろと命令してくる。
「だって、この間アスマがピンクの薔薇の花束持って――」
話はそこまでだった。
紅がアスマに捕縛の術を掛けようとする数コンマ前、アスマが咄嗟に紅を池に突き落とした。
そして「カカシのバカヤロー、後で覚えてやがれ!」と捨て台詞を吐きながら満月の方角に逃げて行く。
数秒後、吸チャクラ魚の生き残りが栄養分の吸いすぎで死に絶えてもなお衰えない強大なチャクラ(+怒りのオーラ)を撒き散らしながら池から上がった紅が、
奇声を発しながらアスマの後を追いかけて行った。
ごめんアスマ、明日の合同演習は俺一人で頑張るよ。