飼育員さんのお仕事!

 夜の動物園には秘密があるの。
 魔法使いのネズミだっているし、耳で空を飛ぶゾウだっている。
 フクロウは偉そうな顔で小難しい薀蓄を垂れ流すし、キリンはかわいい。
 そんな一癖も二癖もある動物達の相手をするのは、昼間とは違う特別な飼育員。
 荒々しいそぶりでも、たっぷり鳥達に愛情を注いでいるアスマ先生。
 猛獣の群れを鞭一本で従える紅先生。
 半分動物みたいなガイ先生。他にもたくさん。
 木の葉動物園のスペシャリスト達は、闇にまぎれて仕事をする。
 そしてこの動物園の目玉、世にも珍しい銀色の狼を任されたのが――――


 ずちゅっ、ぐちっ
「あ……っっはあ、ン、アァ!!」
 ツナギを半分以上剥かれて、窓から差し込む月明かりの下に中堅飼育員・うみのイルカの肢体が晒される。
 その中でも一番大事な場所を、背後から長くグロテスクなペニスによって無遠慮に突き荒らされていた。
「んんーーーっっ」
 思わず首を仰け反らすと、その喉元に大きな舌がべろりと這わされる。
 捕食者の唸り声がイルカの耳を支配したかと思えば、すぐさま甘噛みされた。
 抵抗したい。でも、狼の機嫌を損ねてはいけない。
 経営陣のナンバーツーであるダンゾウ氏から直々に大きな仕事を任されて、イルカは大いにはしゃいだ。
 だがこの動物園を実質取りまとめるこの狼を従える方法を閉演まで思いつかなかったのだ。
 策の一つもなく恐る恐る檻に手を掛けた瞬間、耳元から聞こえるはずもない唾液を飲み込む音がして。
 気づけばこうして好き勝手されている。
 裸の皮膚をふかふかの毛皮が擽る。涙でよく見えないが、きっとキラキラしているのだろう。
 檻の向こう側から何度も見つめた、世にも稀な美しい狼。
 そんな狼の住む舎は特別扱いで、他の動物舎から離れたところに建てられている。
 狼のストレスにならないように、防音まで施されているともきいた。
 誰も、イルカが狼に犯されていることなんて知る由もない。
「うぁ、ひぁ……っっ」
 言葉なんて出てこない。喉から出るのは半分ケダモノじみた喘ぎ声。
 狼はそれに気をよくしたのか、イルカの体を器用に反転させて顔を近づけ……露骨に顔をしかめた。
「この体じゃキスもできやしない」
 聞き間違いかと思った。
 やけに色っぽい、男の声が降ってきた。
 だが間違いじゃないのは、先程まで押しつけられていた体毛が手品のようにつるんと消えていることが示している。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜、ヒトっ!!!!!!???」
 三角の耳も、ふさふさの尻尾も消えている。
 その代わりに謎の美形がイルカを組み敷いていた。
「あーうん、話はあとでね、カワイコちゃん。今はコッチ」
 言うなり、腰の律動が再開された。
 狼よりも激しく、生々しく、熱い。
 さんざん喘がされて意識をもぎ取られたイルカは、目覚めたら漆黒の毛並みを持つ狼にされていた。
「がうがうがう!!?(ナニコレ!なんですかこれ!!?」
「ぐるるーぐるー(俺、かわいい奥さん欲しかったのー)」
「うがーーーーっっっ(そんなん知るかーーーーー!!!!)」


 後日警察の摘発により、人間を動物に変化させて展示していた木の葉動物園は閉演となった。
 

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