【Lingerie,lingerie】

 イルカ先生。イルカ先生。
 貴方がいつも出立前に俺に下着を選んでくれる時の真剣な表情を思い出すだけで勃起しそうです。
 シルク素材の卑猥な布を一枚一枚広げる貴方も、真っ赤な顔をして購入してくる貴方も俺は愛しています。
 こんなことを言うとまた「覗いてたんですか!」って怒られそうですね。
 白状します、覗いてました。
 俺達は余程のことがない限り任務の前には肌を合わせてきました。
 帰ってくる場所を間違えないためです。
 そうして何度も何度も、病院に担ぎ込まれることも多々ありましたがちゃんと互いの腕の中に戻ってきました。
 手紙、握りつぶさないで。泣かないで。
 あのね先生、いつもの言葉もう覚えちゃいましたよ。
「写輪眼のカカシがセクシーランジェリー着用して捕まったら恥ずかしいんですからね!」って。
 それからちょっと詰まって
「だからちゃんとここに帰ってこないと、いけないんです」って。
 いつも泣きそうになっちゃうね。不安にさせてゴメンネ、俺、体力ないから。
 俺は今回どんな下着を選んでもらったんだろう。
 貴方は俺に黒いのをよく選ぶよね。赤とか。
 それで、無事に帰ってくるとそれを着てエッチしてくれて。
 あのご褒美すごくイイよ。いつまでも貴方は慣れないしねぇ。もう息子もビンビンですよ。普段はこんなプレイしてくれないし。
 だけどもうできないね。これ読まれてるもの。
 俺は死んじゃった。ごめんなさい。こんな手紙残すのも卑怯だよね、ごめん。
 だけど隠してたことがあったの。聞いてくれる?
 貴方が選んでくれたランジェリーに、いつも術を掛けてた。
 俺のチャクラが切れると共に朽ちるように。
 だから病院でも何も言われなかったでしょ?イルカ先生はいつもおどおどそわそわしてたけど。それも可愛いってのがあってずっと黙ってた。
 ま、ノーパン上忍って院内であだ名つけられたけどね!
 イルカ先生はどうしてって怒るかもしれない。だけど俺も男だから。
 あ、恥ずかしくて嫌だって意味じゃなくて。
 うみのイルカの伴侶だったはたけカカシは、立派だったって言って欲しいわけ。
 俺の死後貴方が面白おかしく囃し立てられるのが我慢できないっていうね。
 貴方の恥ずかしがる顔は俺だけが知ってればいいから。
 ピラピラの可憐な下着を身に着けて「カカシさん」って俺を呼ぶ貴方の扇情的な顔を誰にも渡したくなかったの。
 俺は立派に死ねたかな。
 貴方は変態の恋人ってレッテルを貼られないで済んだかな。
 確かめる術はないので、50年後くらい後に貴方がこっちに来たときに教えて欲しいな。
 またね、イルカ先生。
 愛してます。

 はたけ カカシ



 カカシさんが里に置いて行った手紙がオレの元に届いた。
 しかし偽者じゃなければ、カカシさんは隣に眠っている。
 事務局に問い合わせてみると、そろそろ遺言状の更新の時期なのだが、カカシさんがなかなか現れないので送付したとの答えが返ってきた。
 あて先はうみのイルカ宛。本当は読むべきでないのだろうけど、昨日ちょっと喧嘩したのがあってオレは開いてしまった。
 朝ご飯は茄子の味噌汁を作ろう。それからごめんなさいと謝って、一発殴る。
 下着が朽ちるようになってたなんて知らなかった。
 遺書にオレのことしか書いてないだなんて知らなかった。
 殴ってから抱きしめる。
 馬鹿で愛しいこの人を。
 でも、しばらく下着プレイはお預けにしてやる。



Novel Top